
雪の中から待ちわびたように一気に活力が溢れる春 当館で50畳の広間に盛大に繰り広げられる座敷雛祭り(2月下旬~5月下旬)、渓流の釣り解禁(4月初旬~9月初旬)、新緑の芽吹き(4月~5月)、紅垂れ桜(5月)山菜採り(5月~7月)



(古代 縄文時代)
湯西川には先住として16000年~3000年前といわれる縄文時代の、狩猟採集で平和に暮らしていた古代人の遺跡が多数発掘されております。川の流域には文化が生まれるといいますが、湯西川の歴史も縄文の時代から平家一門の集落に至るまで、川の流域が生活文化を育んできたことが伺えます。縄文の民達もこの深山清流沿いで温泉につかってさぞ癒されたであろうことが想像できます。
(平安時代~室町時代)
1185年、天下を二分にした源平の壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人、平清盛の嫡男である平重盛の六男・平忠実(平忠房)は家臣と共に、縁戚の宇都宮朝綱(ともつな)公を頼り、関東へ下りました。その後川治の鶏頂山に隠れしのんで生活しておりました。
折も折、一族の婦人が男子を出生、不遇の内にも祝事と喜び、のこり布でのぼりを5月の空に上げたところ、源氏方の眼にふれ、一族は大敗し深手を負って渓谷沿いに湯西川に至りその地を永住の地と定めました。湯西川ではいまだに鯉のぼりをあげず、時を告げる鶏も飼わない風習が続いております。(一方屋外でなく屋内では雛祝いや子供の節句を盛大に催しています)
忠実公は雪の日に狩に出て、降っても降っても雪が積もらない箇所を発見。不思議に思って手を入れてみると、川原に湧き出る温泉を発見しました。その場所近くに、「藤の木で作った馬の乗り鞍」(のりくら)や金銀財宝を埋めました。温泉の湧き出る所ならば子孫の内誰かは掘り起こすであろうと、温泉のことも誰にも漏らさずに、一族と共に不自由を忍び、深山の生活に甘んじ続けたのであります。(当館宝物館に「藤鞍」は展示、当館温泉「藤鞍の湯」はそこを起源としています。)
(室町時代~江戸時代~近世)
1573年(天正元年)、織田信長が天下を制覇しようとしていた頃、平忠房公より11代目の伴対島守忠光(ばんつしまのかみただみつ)が、先祖と同様、雪の日にこんこんと湧き出る温泉と多数の宝物を発見し、先祖の配慮に感動しました。伴という字は「平の人」を変形した姓です。当館から徒歩5分の慈光寺の本家伴久の墓所内に、伴対馬守(ばんつしまのかみ)は、先祖を祀る六地蔵供養塔を建立しました。(天分18年西暦1549年と記されている)
1666年(江戸初期)湯西川村落として存在し始め、良質の温泉の評判が近隣に聞こえ、湯治宿屋の伴久旅館(本家伴久)の創業となりました。
(現代)
そして現代平成の世では、当地湯西川は観光地として栄え、当館も初代から数え、25代目を継承し、お客様をお迎えしています。毎年6月初旬には平家大祭が催されて観光客でにぎわいます。 又1994年10月には、湯西川旅館組合主催で、鎌倉より源頼朝会の方々を招き、平家の里にて和睦調印式が行われたことは、当時各メディアで話題として取り上げられました。当館御食事処「平家隠れ館」で緊迫感のうち両氏の前夜祭は始まり、宴席を共にするうちに次第に和み笑顔で心は一つになりました。
隠れ館に至る「かずら橋」は「縁を結ぶ橋」
湯西川をはさんで、本館と食事処「平家隠れ館」に架けられたかずら橋は、平家落人の歴史ある四国祖谷(いやだに)の匠(たくみ)の手により架けられました。平家ゆかりのかずら橋は、本来逃亡のために橋を切り落とした歴史があります。ところがこの和解により、八百年の恩讐(おんしゅう)は消え去り、隠れ館に至る「かずら橋」を両氏手をつないで渡るという、渡り初め儀式がとり行われました。
この平成の世の今、訪れるお客さまの「縁を結ぶ橋」として存在しております。そして湯西川村民は、一丸となって季節の祭りごとを催し、観光客の心を癒す里として現在に至っています。
京の都で栄華を極めた平家がこの山深い湯西川にたどり着いた時、この地にあるものは自然だけでした。山、川、木、土、火、温泉 その中で人々は助け合い、自然と共存して生き繋いでいったことでしょう。家も山の丸木を組み立てた質素なもので、囲炉裏を囲み、一日の労をねぎらいあったことでしょう。火は煮炊きの大切な道具であり、暖さと灯りであり、乗鞍は車の運転席であったことでしょう。都より逃れこの原生林の中で、人間古来の平和な狩猟採集生活様式を通して、先祖が子孫へと生き繋いでいったことに想いをはせます。
当館の御夕食処は、湯西川の丸木や自然素材のみで組み立てられた高床式です。ランプの下、囲炉裏の火を囲むと、人類の源流へ回帰する懐かしさに包まれます。忙しさの中で暮らす現代人に、「都人(みやこびと)よ、たまには、原点に帰られませ、癒されませ。」と湯西川の清流が語りかけているようです。この川は縄文時代~源平の時代~戦国時代~江戸時代~現代の歴史の変遷を見続けてきたのです。
都心に流れ込む川の上流の深山渓谷で何がおきていたか?そこへの旅はまるで人生の原点に回帰していく旅のようです。川はいついかなる時も悠々と流れ、時には怒り、時には和み、人類の命を生かし、その営みをやさしく見守り続けています。
「人の世の歴史を見つめ流れゆく 川面の波立ちに 祖を偲びつつ」伴 玉枝詠む


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